サンドの『ジャンヌ』を境界の物語として読む

-「サンドの『ジャンヌ』を境界の物語として読む」『近代』104号、2010年、神戸大学近代発行会、pp.1-14  サンドの『ジャンヌ』においてブッサク城は「町と田舎の境界」「貴族階級の昔の栄光の最後の名残」「マージナルな人々の出会いの場」として描かれている。本稿は、ブッサク城のこれら空間的・時間的・社会的な境界領域としての機能がこの小説中で次の3つのテーマを展開させていることを明らかにしている。すなわち「町による田舎の伝統の破壊」「貴族とブルジョワの敵対関係」そして「ユートピア実現の可能性」である。