-Mauprat(1837年刊)『モープラ』(藤原書店、2005年刊)
田舎貴族のモープラ一族は没落して館にこもり盗賊になってしまっていた。一番若いベルナールは、盗賊の手におちた美しい娘エドメに恋をして館を逃げ出し、彼女の家で暮らすようになる。彼女にふさわしい人間になりたいと願うベルナールは少しずつ立派な青年となっていくが、エドメはもうすでに婚約していた。彼女への恋心を持て余したベルナールはアメリカ独立戦争に志願兵として参加して6年後に帰国する。その間エドメは婚約を解消しひっそりと暮らしていた。ベルナールは再会したエドメに求婚するが、些細なことで口論になる。その直後エドメが狙撃されて重体となり、嫌疑がベルナールにかかる。裁判では彼に不利な証言が次々に出てきて、彼の死刑が確定しそうになったとき、やっと意識の戻ったエドメが出廷する。ベルナールの嫌疑が晴れ、真犯人が明らかになったあとふたりは結婚し、フランス革命で揺れ動く時代をともに乗り切っていく。
これはサンドが夫との別居訴訟の最中に執筆した作品。感動的な恋と理想的な結婚生活を描いた歴史小説であり、大きな成功をおさめた。『モープラ』はその後、作者によって劇化され、また20世紀には映画化もされている。