魔について

 友人との会話中にふと出てきた表現「中年の危機」、これのフランス語訳は普通「démon de midi」(直訳は「真昼の悪魔」)ですが、これを仏和辞典でひいてみると「中年を襲う性愛の誘惑(ディコ仏和辞典)」と出ていました。それはそれで正しいのですが、日本語表現の慎み深さと仏語表現の擬人化の対照的なおもしろさと比べると、辞書の解説はやはり味もそっけもないと思います。ちなみに「あれは魔がさしたのだ」というのはコンサイス和仏辞典によると「C’est une gaffe inintentionnelle.」、直訳すると「あれは意図的にやったのではないヘマだ」です。今度は仏語表現のほうに「魔」のイメージが出てきません。翻訳というのは難しいものです。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です