昨日と今日は大学院前期課程の入学試験のため、大学に来ています。試験日にはもったいないほどの(?)の良いお天気で、まさに秋まっさかりというところです。気分転換にキャンパスを歩いてみると、紅葉があちこちに見られ、工学部キャンパスでは、なんとひまわりの花も見かけました。これは確か夏の花ではないかと思うのですが、秋にも咲くんですね。学生さんがほとんどいないので、普段よりはずいぶん静かです。でも、グラウンドではスポーツ大会をやっているらしく遠くに歓声が聞こえます。馬場の脇では馬術部所属(?)の老犬がいつものように居眠りをしていました。こういう何気ない日常ののどかさをいつもは忘れているのですが、今日はなんだか胸にしみるところがありました。というのは、昨日ちょっと必要があってカンボジアの歴史を調べたのです。その際に、ポルポト派による大虐殺に関する記事を読んでしまいました。100万人を超すとも言われる人々がたった5年ほどのあいだに殺されたのは、ほんの30年ほど前のことなのです。
歴史を少し学べば、戦争・飢饉・疫病などの悲惨な記述はいくらでもあります。旅行などで、その舞台となった所に立つこともあります。でも、それはたいてい「昔」の話。今自分が生きている時代とは別の時代の話だと思うとそれほどショックは受けないのですが、20世紀後半、自分がすでに物心ついたあとの出来事というのは本当にどうしていいかわからなくなります。そんな悲惨なことが起こっているのをよく知らなかったという言い訳が通用するのだろうか、と。自分がのんきに生きていたとき、苦しみもがき理不尽に殺されている人たちがいたと考えるのは恐ろしいことです。自分に、あるいは自分たちに何ができるのかと問われてもたいした答えは出ないのですが、少なくとも「真実を知ろうとすること」「何があったのかを忘れないようにすること」、この努力だけはしなければいけないと考えています。おだやかで美しい秋の日本で、異国の悲劇を想像するのはとても難しいことではあるのですが。