人生のバックグランドミュージック

 きのう大学近くの坂道を歩いていたら前方から上ってくる学生数人がいて、その後ろから宅配便の自動車がやってきました。道に広がっていた学生たちは片側によけたのですが、ひとりだけどうしてもどかない男子学生がいました。自動車が遠慮がちに警笛を鳴らしたのですが、そのまま歩いています。しばらくして道幅が広いところに出てやっと自動車が脇を通り抜けて行きました。そのときに私は彼と行き違ったのですが、なんと彼は耳にイヤホンをつけてスマホにつないでいたのです。多分警笛がきこえなかったのでしょう。本当に危険だなと思いました。 このときに思い出した映画がありました。音楽をこよなく愛する殺し屋、「人生にはバックグランドミュージックが必要だ」と言って常にイヤホンで音楽を聴いている彼による凄惨な殺戮シーンで、まったく「場違いな」美しい音楽が流れていたのが強烈に印象に残っています。また、視覚と音楽の関わりでいうと、ずいぶん前ですが、冬のフランスの平野を突き切る列車の車窓から、延々と続く風景を眺めているとき、カセットテープから流れてきた石川さゆりの歌(ファンでもないのに、なぜそんなものを持っていたのか理由を忘れましたが)が意外に合うのに驚いたことを思い出しました。

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