お彼岸に思うこと

 今日は春のお彼岸の中日です。去年の秋に亡くなった友人のことがしきりに思い出されます。古くからの友だった彼女は、みんなに愛され惜しまれながら穏やかにこの世を去っていきました。

 私が初めて「死」のことを考えたのは、小学校低学年の頃です。同居している祖母に「死ってなに、どういうこと?」と尋ねると、「どこにもおらんようになること」という答でした。その晩布団にはいってから、自分がどこにもいない状態、今このことを考えている自分がどこにもいなくなっている状態を想像して、とても怖くなったことを鮮明に覚えています。

 63歳で亡くなった祖母より私は年を取ってしまいました。子どもの時ほどは死に対する恐怖は大きくありません。むしろ、永久に生きていなくてはならない、死ぬこともできない状態になるのを想像するとそちらの方が怖いと思います。終わりがあると思うからこそ人は今を大切にするのでしょう。今のこの瞬間はもう二度と戻ってこないからこそいとおしいのです。

 今が私の人生の黄金時代だと考えるようにしています。今まで生きてきたなかで、諸々のしがらみが一番少なく、やりたいことができるこの時期がいつまでも続くわけではないからこそ大切にしたいと思っています。

 今日はまるで冬に戻ったように寒い日ですが、春がもうすぐそばに来ていることが気配でわかるような良い天気です。

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