この秋、小学校時代からの友人が亡くなってしまいました。私たちは文学少女だったので、読んだ本の話、映画の話、そして将来の計画や夢を時間を忘れて語りあったものでした。中学生の時に彼女が遠くに転校してからは手紙をたくさん書きました。まだ人生をあまり知らないティーンエイジャーの私たちは、努力すれば夢は何でもかなうと思っていたので、ふたりとも将来は作家か女優になりたかったのです。しかし、その後の私たちの人生の道筋は思い描いていたものとは随分違ってしまい、ここ数年は音信不通でした。先日彼女の夫君から電話があり、彼女が突然倒れて数日後に亡くなったことを知りました。茫然としてしまいました。このようにして、人は自分の一部をなくしていくのだとわかりました。少女時代のある時期にふたりで共有した夢や理想は、もう私以外に知る人はいないのだということを痛感しました。
親しい人が逝ってしまうのは、今の自分を構成している重要な部分が剥がれ落ちるようなものです。だからこそ、生きているかぎり、新しい知人や友人を作りたいものです。今この時を共に生きるということは、大海原を同じ船に乗って航海しているようなものですから、いつか私が下船する時には、笑いながら「ありがとう! 楽しかったね」と言ってお別れするのが理想なのですが・・・。