継続は力なり

 先日、大学の10月入学者の方々の前で次のようなスピーチをしました。

 私から皆様にお勧めしたいスローガンがあります。それは、少し陳腐かもしれませんが、「継続は力なり」です。「継続は力なり」、これは、もちろん、他の人との協同作業の場合はうまくいかないこともあります。たとえば、自分がなんとか頑張って行き詰まっている結婚生活を続けようと努力したとしても、相手のほうに全くその気がなければ空回りするだけです。でも、自分ひとりでできることに関しては「継続は力なり」という言葉は的を射ていると思います。

 考えてみましょう。新しい勉強を始めると、分野にもよりけりですが、膨大な文献、参考書などを読まなくてはいけないことがあります。絶対に読まなくてはいけない重要な本が、全く面白くなくて、読み続けるのがいやになって放り出したくなるかもしれません。そんなとき、私はその本を分割して、例えば300頁の本なら、1日に50頁を読んで、6日間で読み終える計画をたてます。50頁でも一気に読み通すのは大変ですから、それを10頁ずつに5分割します。そして、その10頁を読む間はできるだけ集中し、10頁が終わったら、休憩してお茶を飲んだり、散歩したり、あるいは昼寝したりして気分を一変してから、次の10頁にむかいます。その日の分の50頁がおわったら、自分をほめてワインで乾杯することもあります。とにかく、継続すること、途中で投げ出さないことが肝心です。そして、その本の内容があまりよく理解できなかったとしても、これまた使い古されたことばですが、「読書百編意自ずから通ず」です。繰り返し読む、とにかく再読することで分かってくることも多いと思うのです。

 皆様、どうぞ今日の初心を忘れず、もしかして長い時間がかかったとしても、ぜひ目的地に到着されますように。

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