2022年度のアカデミー賞受賞映画『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』をアマゾンプライムで見ました。7部門のアカデミー賞受賞、特に中国系の女優が主演女優賞を取った奇想天外な映画として楽しみにしていたのですが、見た後の感想は「うーん」です。コインランドリー店を営む中国系アメリカ人一家の物語と、パラレルワールドを含めた大宇宙の危機が重なる壮大な作品なのですが、どこが面白いのかわからない場面が多すぎるのです。コック帽の下にいるアライグマとか、多分アメリカ人ならだれでも知っているディズニーアニメのパロディがあったり、他にもアメコミやアメリカ社会の人種についてのステレオタイプなどの知識があればとてもおかしいシーンが頻出するのですが、知識のない者にとっては「?」ということになります。大宇宙の危機が最終的には母と娘のカンフー対決になるのは、今までは同じようなテーマの父・息子版(スターウォーズなど)ばかりだったので、かなり新鮮ではありましたが… この映画はアメリカ以外では大ヒットは難しかっただろうと思います。
それで思い出したのが、『翔んで埼玉』(2019)でした。新型コロナでステイホーム中にあまり期待せずに見たのですが、とてもおかしくて最初から最後まで笑いっぱなしでした。この作品は日本アカデミー賞を取りましたが、日本以外ではヒットしないのではないかしら。魔夜峰央の少女まんがの特殊な設定(それを更に実写化!)と、関東地方のご当地ネタがちりばめられていて、知っている人にはとてもおかしいけれど知らない人には「なにこれ?」だと思います。
悲劇には世界共通の部分が多いでしょうが、喜劇にはローカルな要素が大きいのではないでしょうか。