-Indiana(1832年刊)『アンヂアナ』(岩波文庫、1937年刊) 主人公はインド洋に浮かぶブルボン島(現在のフランス領レユニオン島)生まれの若い女性アンヂアナ。16歳のとき親の決めたいいなずけ、40歳も年上 の退役軍人デルマール大佐と結婚してフランス本土にわたる。粗野で思いやりのない夫との結婚生活で、身も心も衰弱しつつあったアンヂアナの前に、情熱的な 美青年レイモンが現れて彼女を誘惑する。だが、つかのまの激しい恋のあとレイモンは彼女を捨ててしまう。ブルボン島に戻ったアンヂアナは、レイモン恋しさ のあまり病気の夫を残して彼の元にやってくるが、レイモンはすでに結婚していた。その後夫の死の知らせが届き、絶望と後悔にさいなまれる彼女は、幼なじみ で昔から彼女を愛していたラルフと心中を計画する。しかし、最後の瞬間に思いとどまり、ふたりは残りの人生をブルボン島の森の中でひっそりと寄り添いなが ら暮らすことになる。
この作品はジョルジュ・サンドの処女作。女性をほとんど奴隷化している当時のフランス社会と堕落した結婚制度に真っ向から非難を浴びせたこの小説は大きな反響を巻き起こした。