Jeanne d’Arc : son interprétation au XIXe siècle par Michelet, Renan et G.Sand

-「Jeanne d’Arc : son interprétation au XIXe siècle par Michelet, Renan et G.Sand」(仏語論文)『論集』48号、1991年、神戸大学教養部、pp.93-115  ミシュレの歴史書『ジャンヌ・ダルク』、エルネスト・ルナンのエッセー『ケルト民族のポエジー』およびサンドの小説『ジャンヌ』の分析を通して、19 世紀フランスにおけるジャンヌ・ダルク像を検討する。ミシュレはジャンヌを15世紀フランス民衆精神の化身であり「キリスト」の再来であったとのべ、彼女 を中世と近世の境に位置づける。ミシュレの『フランス史』を愛読していたサンドは、ジャンヌ・ダルクを19世紀に移しかえた小説『ジャンヌ』を書き、フラ ンスの農村に生き残る伝統文化を守るために当時の都市的・金権的社会の中で傷つき死んでいくヒロインを作り出した。思想家ルナンは、ジャンヌ・ダルクの生 涯と伝説の中にケルト的伝統のなごりを認め、ジャンヌの信仰はキリスト教的であるというよりケルト的であったと結論する。このように、ロマン主義の時代は それまでには見られなかった新しいジャンヌ伝説を生みだしたのであった。