-La Mare au Diable(1846年刊)『魔の沼』(藤原書店、2005年刊) 3人の子持ちの若い農夫ジェルマンは、亡き妻の親のすすめで富裕な寡婦との見合いに出かけることになる。ちょうどそのころ貧しい娘マリーが、よその村 で羊番の仕事を見つけて村を離れることになり、ジェルマンがマリーを馬に乗せて出発する。そこにジェルマンの長男ピエールも加わった3人は森の中の「魔の 沼」のそばで道に迷い野宿することになる。その晩マリーのやさしさ、けなげさに感動したジェルマンは彼女に求婚するが、彼女は自分たちの年齢や境遇の違い を理由に彼を思いとどまらせる。翌朝ジェルマンは見合いの相手に会うが、それは見栄っ張りで鼻持ちならない女性だった。マリーのほうも自分の新しい雇い主 が、女好きの危険な男であることがわかり、村に帰ることにする。こうしてふたりは村に戻って元どおりの生活を始めるが、ジェルマンはマリーをあきらめるこ とができない。やがて、ひとりで悩む彼をみかねた姑の忠告に従って彼はもう一度マリーに求婚し、今度は彼女も承知する。マリーも「魔の沼」のほとりの一夜 以来彼にひかれていたのだった。
サンドの作品中最もポピュラーな「田園4部作」の第1作。日本で最初に紹介されたサンドの作品(初訳は1912年)でもある。