La Ville Noire

-La Ville Noire(1861年刊)『黒い町』(藤原書店、2006年刊)  山間にある刃物工業の町「黒い町」を舞台にして刃物工セテペと製紙工場の女工トニーヌの恋を中心に、工場労働者をとりまく厳しい環境(自然災害、労働 災害、ブルジョワ階級との対立、劣悪な労働条件等)を描いている。セテペは独立への野心のために一度はトニーヌへの恋心を捨ててしまう。彼女のほうも、聡 明で献身的な青年医師の求婚に心動かされる。しかし、多くの試練ののち、職人としての遍歴修行から黒い町に戻ったセテペは、思いがけず富裕な身分になった トニーヌがその模範工場でさまざまな改革に取り組み成功しているのを発見する。ふたりは結婚して仲間たちとともに共通の理想に向かって進んで行く。
  初版出版後100年以上ほとんど忘れられていた作品だが、「ゾラの『ジェルミナル』に四半世紀近く先駆けて労働者の世界を舞台にして書かれた小説」として再び脚光をあびることとなった。