-Le Marquis de Villemer(1861年刊)『秘められた情熱』(北隆館、1950年刊)
フランス語の原題は『ヴィルメール侯爵』。没落貴族の娘カロリーヌはヴィルメール老侯爵夫人の秘書となる。夫人の息子ユルバンはカロリーヌに恋するよ うになるが、打ち明けることができない。彼女の方もユルバンに心惹かれるが、ふたりの境遇が違いすぎるため自分の恋心を認めまいとする。そのうちにカロ リーヌを嫉妬する女性の悪意のある嘘を信じた老侯爵夫人はカロリーヌを侮辱する。失意の娘は侯爵家を去ってオーヴェルニュの山村に住むもと乳母の家に身を 隠すが、ユルバンはあらゆる手を尽くして彼女を捜し出す。お互いの愛情を確かめ合ったふたりは、誤解の解けた老侯爵夫人の祝福を受けて結婚する。
サンドはこの小説を劇化して1864年にパリで上演させ、大成功をおさめた。